【要約】意志と表象としての世界【第九節】

本の第九節を要約しました。

第九節

概念は人間の心の中に存在し、直観的な表象とは違います。概念を完全に理解するのは難しく、抽象的な認識しか得られません。概念は考えるだけで、直接見ることはできません。概念から生まれる結果は言葉、計画、学問などで、それが本当の経験の対象になります。

会話は速くて正確な電信機のように、さまざまな意味を伝えます。でも、会話の中の符号はどう解釈されるのでしょうか?他人の話を聞く時、私たちはすぐに想像力でイメージに変換するのでしょうか?もしそうなら、頭の中はとても大変なことになりますね。でも実際は、会話の意味は直接聞いてすぐに理解できるものです。

理性は抽象的な概念で話し、動物と違って人間は言葉を使います。言葉は人間と動物を区別する大切なもので、概念や非直観的な表象によって説明できます。概念は直観的な表象と違いますが、関係があって成り立ちます。この関係がなければ概念は存在しないでしょう。概念は表象の表象と言えます。

根拠の原理は、概念や抽象的な表象の世界で大切な役割を果たしています。概念は関係に基づいていて、認識の根拠を持っています。抽象的な表象は直観的な世界に関わりを持ち、具体的なもの(人間、石、馬など)や抽象的なもの(関係、美徳、研究など)があります。

概念はたくさんのものを包括し、それらを考える時に使われます。概念が普遍的であるのは、それが理性から生まれ、個別のものを限定しないからです。概念には範囲があり、一つの概念の範囲は他の概念と共通する部分があります。これらの関係は、主語と述語の関係に似ています。この関係を認識することが、判断すると言われています。概念は抽象的で、いつも限定されるわけではありませんが、それでも私たちが考えるために使われています。

空間的な図形で概念の範囲を表現することは面白いアイデアです。プルーケ、ランベルト、オイラーという偉大な学者たちがこの方法を考えました。概念と図形の関係はうまく説明できないけれど、論理学にとってとても便利です。概念の範囲がお互いに等しい場合や、一つの範囲がもう一つの範囲を包む場合など、いろいろな図形で表すことができます。これは、概念がどのように関連しているかを理解するのに役立ちます。

概念の結びつきは5つの場合に分けられ、判断やカントの悟性のカテゴリーもこの5つから導かれます。ただし、仮言形式や様相は例外です。この5つの組み合わせの間では、さらに多様な組み合わせが考えられます。例えば、第四の図形と第二の図形が結合する場合、3つの範囲が合同して推論を表現します。この推論は判断の組み合わせであり、複数の範囲が組み合わされることで、推論の長い連鎖が成立するのです。

概念の図式化を判断論や三段論法の基礎に使うと、講義が簡単になります。しかし、論理学は実際に役立つわけではなく、理論上の興味がある程度です。論理学の関係は音楽や倫理学に似ていて、美学の研究で芸術家になったり、倫理学の研究で高貴な性格になることはありません。論理学を知る必要はないけど、実際に実行するときには少し役に立つかもしれません。だから、美学や倫理学に実用上の価値がないとは言えません。しかし、論理学にはそれほど誇れるものはありません。

論理学は、抽象的な知識で、誰もがすでに知っていることに関係しています。正しい推論をするために論理学の規則は必要ありません。論理学は、理性の方法についての知識で、他の科学と違って、個別のケースがもっと簡単で確実です。論理学を実用に使うのは、難しいことで、身体を動かすときに力学を使ったり、食べ物を消化するときに生理学を使ったりするようなことです。論理学を学ぶのは、自然に巣を作る動物にわざわざ巣を作る方法を教えるようなものです。

論理学は、実用的ではないけれども、理性の働きについての大切な知識だから、学んでおくべきです。論理学は他の学問とは別で、完全で確実な学問です。しかし、論理学が一番価値があるのは、哲学全体とつながっている時です。論理学は、判断や推論のルールだけではなく、理性や概念の知識を深く考えることが大切です。論理学は、認識の根拠や、真理についての考え方を教えてくれる学問です。これを学ぶことで、理性の使い方がわかります。論理学は、判断や推論のルールを空間図式で表現でき、それを使って理解しやすくすることができます。

論理学は、実用的ではないけれど、論争の時に相手の間違いを指摘するのに役立ちます。論理学は哲学の一部で、精神を鍛えることが大切です。今の時代は哲学を学ぶことが求められているので、論理学の知識も必要です。論理学は、昔の哲学者たちの論争から生まれました。彼らは、共通の真理を見つけて、それをもとに議論を進めました。そして、理性の働き方を学び、論争の方法を決めることができました。論理学は、この方法をもっとよく理解するための学問です。

論理学の基本原則は、人々が昔から無意識に守っていたものです。これらの原則には、矛盾原理、充足理由の原理、排中原理、総体及び皆無に関する原理などがあります。人々は、これらの原則を意識して法則として認めるようになりました。さらに、論理学の中で、特別なルールや発見もあります。例えば、三段論法の規則や、「単なる特殊あるいは否定の前提からはいかなる結論も得られない」という原則などです。これらの原則とルールが、論理学の基礎を作り上げています。

長い間の努力の後、論理学はアリストテレスによって完成されました。それまでの論理学は不完全で、プラトンの対話編では論理学上の真理を示すのに回りくどい方法が使われていました。メガラ学派の人々は、簡単な論理学上の法則についても争いましたが、アリストテレスがそれらの材料を整理し、完成させました。ペルシアの文人たちは、インドで完成された論理学がアリストテレスに送られたと主張していますが、ギリシア文化の発展とアリストテレスの努力を考えると、その主張に疑問が残ります。

中世の時代には、アリストテレスの論理学がスコラ哲学者たちに歓迎され、知識の中心とされました。今も論理学は実用的で必要な学問として認められています。カント哲学は論理学から始まり、論理学に対する新しい関心を生み出しています。論理学では、概念範囲の関係を正確に見ることで、厳密な推論が成り立ちます。しかし、説得術では、概念の範囲をいいかげんに見て、自分の目的に合わせて主張します。このような方法は、弁論でさまざまな概念に適用できます。

概念の範囲は、いくつかの他の概念の範囲と重なる部分があります。しかし、説得術や巧妙な詭弁術では、一つの概念だけに焦点を当て、他の概念を無視したり隠したりします。これらの手口は、論理学上の方法と比べると野蛮で無作法なものとされています。説得術では、一部の概念だけを強調して、他の概念を隠すことで、人々を説得しようとします。

詭弁と説得の本質を理解するためには、概念の性質と理性の認識の仕方を考えることが大切です。概念の範囲はお互いに入り組んでいて、どの概念から始めても別の概念に移ることができます。これを図形で説明することもできますが、その図はあくまで簡単な説明であり、大きな価値があるわけではありません。概念の関係を理解することで、詭弁や説得の手法がどのように機能するかを学ぶことができます。

旅行という概念を例にして説明しましょう。旅行は他の4つの概念に関連しています。説得者は、これらの概念を自由に使って、旅行が良いことや悪いことを言うことができます。概念はさらに他の範囲とも関連しています。説得者は、自分の目的に合わせて、どの概念を使うか選びます。ただし、説得の過程で、同じ方向に進んでいくことが大切です。逆戻りはしないように注意しましょう。

詭弁は、聴き手の弱点をつかんで、様々な形に変わります。学問や哲学の論証も、同じようなものです。たくさんの理論が、過去に誤りだとされたことがあります。例えば、ライプニッツ=ヴォルフの哲学やプトレマイオス天文学、シュタールの化学、ニュートンの色彩論などです。これらの例は、私たちが正しいと信じていることでも、後で誤りとわかることがあることを示しています。