【要約】意志と表象としての世界【第十二節】

本の第十二節を要約しました。

第十二節

知は抽象的な認識で、理性認識と言われます。理性は、別の形で認識されたものを抽象的で一般的に理解する力です。つまり、具体的なものを抽象的に認識させるのが理性です。

認識が知になり、抽象的な認識になることはとても重要です。これによって認識の保存や伝達、実際面への応用が可能になります。直覚だけでは限定的で、長い計画的活動には抽象的な知が必要です。

原因と結果の関係や機械の仕組みは、直観的な認識で理解できますが、実際に作業をする際には抽象的な概念が必要です。理性は直観を抽象的な知識に変え、確実さと明確さを提供し、現実の場に応用することができます。例えば、微分計算法は曲線に関する認識を抽象的にし、応用に効果的です。

直観的な認識では空間の関係を理解できますが、抽象的な認識には数が必要です。空間の大きさを抽象的に考えるために、まずそれを時間の関係、つまり数に変換する必要があります。数は抽象的な認識に適していますが、直観することは難しいです。そこで、数詞や代数記号を使って抽象的概念を表現します。

多くの人は直観的な認識で満足し、空間の問題に興味があります。しかし、他の人たちは抽象的な概念を求め、確実性と伝達に重点を置きます。抽象的認識は伝達や保存に役立ち、実用上重要です。直観的認識は個人の行動に十分な場合もありますが、他人の助力や計画が必要な場合には抽象的認識が重要です。

例えば、上手なビリヤード選手は直観で衝突する物体の法則を理解できますが、数学を学んだ人だけが抽象的な知識を持っています。才能ある職人は学問なしで機械を作れますが、みんなで機械を作ったり家を建てたりする時は、計画を立てることが大切です。そんな時は理性が助けになります。

面白いことに、人が一人で作業するとき、考えすぎると逆に邪魔になることがあります。例えば、ビリヤードやフェンシング、楽器の調律や歌唱などは、直観が大切で、考えすぎると混乱してうまくいかなくなります。しかし、芸術や科学では、考える力が大切で、直観だけでは十分ではありません。

人間の魅力は概念ではなく、心が引き寄せられる要素が大切です。擬装は長続きせず、本来の姿が現れます。徳や神性は反省から生じず、意志と認識の関係によります。教義は理性に関係し、行動は感情に関わるため、倫理は概念に即したものではありません。理性は有徳の行いを実行する際に役立つが、根本的な源ではなく、芸術でも同様の役割を果たします。